Art Raychar ~アートレイチャー~
第2話「ツバサの想い」
登場人物
・神楽 アリサ(かぐら ありさ) ♀ 16歳
どMで熱血系や感動系に弱い女子校生。幼馴染の4人といつも一緒にいる。今は『永遠の誓いで僕は魔王を駆逐する』(※略して永魔)というドラマに出てくる有岡ユウマにドハマりし、主役の有岡ユウマのファンとして腐り狂っている。
・白樺 アオイ(しらかば あおい) ♂ 16歳
アリサの相方のように振舞わされているどSの俺様。容姿からなよなよした優男のように思われるが、性格的なギャップと腹黒さから周りから一目置かれている。(幼馴染には無効)若干厨二病チック。
・足利 ミヤト(あしかが みやと) ♂ 16歳
何故かコトハから嫌われている。昔から苦労人で、この中で一番高身長なのに一番の優しいチャラ男。天然女たらしだが、若干腹黒い。怒らせたら一番怖い人かも知れない・・・。
・近江矢 コトハ(おおみや ことは) ♀ 16歳
ミヤトのことが何故か嫌い。いつから嫌いなのか自分でも覚えていない。5人組の中で一番の巨乳でお色気担当。ツバサのことが大好きで、ツバサのことになると何を差し置いてでもツバサ優先になる。
・壱番台 ツバサ(いちばんだい つばさ)♀ 16歳
家柄の関係で男として育てられたがれっきとした女。何故か、アリサとアオイ以外には女だということが知られていない。ミヤトに好意を寄せているが、ミヤトもコトハに男と思われているので、伝わっていない。
・有岡 ユウマ(ありおか ゆうま) ♂ 18歳
モデルであり、俳優。『永遠の誓いで僕は魔王を駆逐する』に出演中で、アリサが熱狂的なファン活動を行っている対象人物。その正体は・・・・?
・時ノ目 ユエ(ときのめ ゆえ) ♀ 20歳
モデルであり、女優。『永遠の誓いで僕は魔王を駆逐する』に出演中で、ユウマの相方のヒロイン役として共演している。その正体は・・・・?
配役 ♂:3 ♀:4
アリサ:♀:
アオイ:♂:
ミヤト:♂:
コトハ:♀:
ツバサ:♀:
ユウマ:♂:
ユエ:♀:
(白いコンクリート製の質素な部屋にアリサとコトハは寝かされていた。一足先に目を覚ましたのはコトハだった。先ほどの衝撃で頭を強く打ち付けたのか、ピシリと刺すような痛みを感じる。)
コトハ「ッ・・・・いったぁ・・・。っあ!!アリサッ!!大丈夫?!ねぇ、起きてっ!!!」
アリサ「・・・・・」
コトハ「・・・嘘でしょ?・・・・アリサっ?!ねぇ!起きて!!・・・・起きてよっ!!」
アリサ「・・・・」
コトハ「アリサっ!!アリサッ!!!!」
アリサ「・・・・・んにゅぅ・・・・コトハの・・・マシュ・・マロ、おっぱい・・・むにゃむにゃ」
コトハ「・・・・え?」
アリサ「コトハァ・・・もう・・・マシュマロは・・・・食べ飽きちゃったよぉ・・・・むにゃ・・・・うへへぇ(ジュルリ」
コトハ「・・・・・ぁ・・・・・アリサァ・・・・?(怒」
アリサ「すやすや・・・・っぐふぅ?!ぁっ・・!?お・・・お腹に肘鉄エルボー全体重乗せは・・・・死ぬ・・・・(昇天」
コトハ「・・・・全く・・・・寝言で何を言うかと思えば・・・・」
アリサ「あぁっ!!コトハ様の冷たい瞳が大変ご褒美でございますううううううううっ(恍惚」
コトハ「・・・・はぁ。本当に・・・私の幼馴染、ツバサ君以外こんなのしかいないのかしら・・・・」
(コトハの後ろにあった扉が音を立てて開く。音も気配もない。それでもコトハの体は無意識に後ろに居た人物の腕を掴んで投げ飛ばした。)
ユウマ「っうおわ?!・・・っぐ!?」
コトハ「え・・・あれ・・・?」
アリサ「っへ・・・?コトハっ?」
ユウマ「・・・っち。」
コトハ「っきゃあ!!」
アリサ「コトハ!!」
ユウマ「動くな・・・。ったく・・・まだ測ってねぇのに覚醒し始めてる・・・?危険な目にあって恐怖心から覚醒したか・・・?
まぁ、そのほうが手っ取り早いか・・・・」
アリサ「・・・・なんで」
ユウマ「あ?」
アリサ「なんで・・・・あなたが・・・?」
(少し間が空いて、別室。そこではアリサやコトハと同じように、アオイとツバサが対峙していた。アオイはツバサをかばいながらジリジリと壁に追い詰められている。)
ユエ「ふふっ・・・美味しそうな子達・・・」
アオイ「・・・・ツバサ・・・俺が時間稼ぐから、さっきあの女がきた扉に向かって走れ」
ツバサ「えっ・・・・アオイ?!」
ユエ「あらあら・・・あたしも舐められたものね?ここがどこかわかってるの・・・?」
ツバサ「そ、そうだよ!僕だけが逃げても、直ぐに捕まっちゃうよ!!」
アオイ「いいからいけ。すぐ近くにコトハとアリサがいるはずだ。お前があいつらを連れてきてくれれば俺はその間にこ
いつを捕縛する」
ツバサ「でもっ!」
アオイ「俺様の言うことが聞けねぇのか?」
ツバサ「ひぃっ?!わ、わかったよっ!!!」
アオイ「合図したら少し回って扉へ向かって走れ。行くぞ・・・?」
ツバサ「・・・っ!」
アオイ「走れっ!!」
ユエ「っ?!早いっ?!」
アオイ「っはぁ!」
ユエ「っく・・・!っち・・・」
アオイ「・・・・っは。どうした?舐められて気に障ったか?(嘲笑」
ユエ「ふふっ・・・あははははっ。やってくれるじゃない・・・楽しくなってきちゃったぁ♥」
アオイ「・・・・やはりな。お前・・・」
(当てずっぽうに部屋を見て回るツバサ。途中で竹箒の柄のようなものを見つけようやくたどり着いた部屋で、男に組み敷かれているコトハと男とにらみ合うアリサがいた。)
ツバサ「コ・・・・コトハちゃん?アリサっ」
コトハ「ツバサ・・・・くん・・・・っ(泣」
アリサ「っ!!(ドンッ)今のうちに!!ツバサ!!」
ツバサ「(ハッ)う、うん!!」
ユウマ「っち・・・てめぇ!!」
アリサ「っいったぁ!?っぅぐぅ!!」
ツバサ「アリサッ!」
コトハ「アリサァ!!」
アリサ「っ・・・・アオイ、をっ!」
ツバサ「アオイはっ」
アリサ「大丈夫・・・もう終わってる」
ツバサ「・・・え」
アリサ「逃げて!早く!!」
コトハ「そんなことっ・・・できるわけっ!!」
ツバサ「・・・持ちこたえて、アリサ」
コトハ「っきゃ?!ツ、ツバサくん?!」
(姫抱きにしたコトハの静止の声も聞かずにツバサは来た道を戻った。それを見送ったアリサは安堵のため息をつく。ユウマはただそれを黙って見ていた。)
ユウマ「・・・・ただの馬鹿だと思っていたが。何を命じた・・・?」
アリサ「なんのことですか?わたしはただ・・・私が大ファンのあなたと一緒にいられて嬉しくて・・・人払いを頼んだだけ
ですよ?有岡ユウマくん。」
ユウマ「・・・は。上の見立ては間違ってなかったようだな・・・」
アリサ「・・・・私は神楽アリサ・・・・。どうして、ユウマくんが・・・こんなこと・・・」
ユウマ「・・・・いずれ知る事になる。だが、アリサ・・・お前たちに拒否権をやることはできない。」
アリサ「っ?!(キツク肘で首元を押さえつけられる)」
ユウマ「アリサ・・・・俺に・・・・抱かれろ・・・・(甘く囁くように)」
(一方逃げてきたコトハとツバサ。ツバサの記憶をたどり、アオイとの合流を図る。コトハはアリサのことが頭から離れられない。)
コトハ「どうして・・・アリサをおいてきたの・・・・?!」
ツバサ「コトハちゃん・・・・」
コトハ「アリサだけじゃ・・・あんなのかないっこないじゃない!!!」
ツバサ「・・・・っ」
コトハ「もしかして・・・アオイも・・・・?」
ツバサ「コトハっ!!!!」
コトハ「!!(ビクッ)」
ツバサ「・・・・アオイとアリサは、お互い話し合ってないけど、なにか確信づいていた・・・。なにかできるって確信があの
ふたりにはある。だから信じて・・・・僕の言葉を・・・・あのふたりを・・・」
コトハ「・・・・・っ」
ツバサ「・・・・もう少しだ。いまは・・・泣くのも、少し我慢してね・・・・ごめんね・・・コトハちゃん・・・・」
アオイ「あぁっ?!ふざけるなっ!!!」
ツバサ「っ?!アオイ!!?」
コトハ「アオイ!!」
(なだれ込むようにして入った先には、ユエを椅子のように扱い、その上に腰掛け、ユエのお尻をバシバシといい音を立てて鳴らすアオイの姿があった。その光景に、二人は勢い余ってこけた。)
ユエ「あっ!アオイ様ぁっ・・・ひぃっん!」
コトハ「ちょっと!!!映像があったらアウトなことを何さらっとやってのけてんのよ!!!!いや、音声でもそれはギ
リギリアウトよ!!!!!」
ツバサ「流石にそれは可愛そうだよ!!っていうか、僕たちがいない間になにメス豚調教しちゃってるのさ!!!」
ユエ「アオイ様ぁ・・・もっと・・・もっとこの醜くいやらしい身の程知らずなメス豚をお仕置きしてくださいませぇっ」
アオイ「あぁ?身の程知らずって言っておいてなに勝手にこの俺様にオネダリと指図してんだ?!まだまだ調教が足
りねぇらしいな・・・・このメス豚が!!!」
コトハ「ストップストップ!!!!そんなことやってる場合じゃないんだってば!!!!」
ツバサ「そうだよ!!アオイ!アリサが大変なんだ!!一緒に来て!!!!」
アオイ「・・・・お前らこそ、何言ってるんだ。そんなことより、出口探すほうが先だろ?」
コトハ「そんなこと・・・・?」
ツバサ「アオイ・・・まさか・・・アリサを」
アオイ「おい、お前、さっさと出口に案内しろ」
ユエ「あぁんっ!ダメです、アオイ様ぁっ・・・私は身の程知らずなメス豚・・・・お仕置きされたさに抗ってしまいますぅ♥」
アオイ「ほぉ・・・?そんなに仕置が気に入ったか・・・・お前にとっては褒美に成り上がったようだ。ならば出口まで案内すれば思う存分仕置・・・貴様にとっての褒美をやろう・・・・」
コトハ「もう・・いい・・・・アオイなんてしらない!!!」
ツバサ「コトハちゃん・・・」
コトハ「友達だと・・・・思っていたのに・・・・!」
ツバサ「ぁ・・コトハちゃんっ!!」
アオイ「・・・はぁ」
ツバサ「アオイ!!!」
アオイ「喚くな・・・全くお前らと来たら・・・・」
ツバサ「でも僕たちの目にはアオイはアリサのことなんてこれっぽっちも・・・・」
アオイ「馬鹿言うな・・・俺様を誰だと思ってやがる、メス豚ども」
ツバサ「っ・・・!」
アオイ「アリサは俺の奴隷だ・・・。勝手に別のやつに調教などさせるつもりもないし・・・そもそも、できるわけもないだろ
う・・・アイツは・・・」
(カラオケ店ではやっと帰ってきたミヤトが何故か集まった人だかりで部屋の中には入れずにいた。)
ミヤト「なんだ?なにがあったんだ?・・・・・おい。嘘だろ・・・・?アリサ!アオイ!コトハ!ツバサ?!通してくれっ!頼むっ!!」
(無理やり人ごみを掻き分けて、ミヤトがその場にたどり着くと・・・そこは脆く黒く焦げ落ち、あちこちで荷物が散乱していた。)
ミヤト「でも・・・血や破断した形跡はない・・・・みんな無事みたい、だな・・・?逃げたのか・・・?だとしたら・・・あいつらど
こに・・・・っ?!これはっ・・・・ツバサのっ?!くっそ!!」
(ミヤトはみんなの荷物を置いてカラオケ店を飛び出した。宛があるわけじゃないが、嫌な胸騒ぎとともに自分の本能に従ってただ走る。いきなり起こりすぎた出来事に整理を付けている時間すら惜しいとすら思った。)
ミヤト「何が起こったってんだよっ!ちくしょおおおおっ」
(少しの間。追い詰められた先は20階以上ある高層ビルの上。周りにはフェンスもなにもなく、一歩間違えれば真っ逆さまの状態。)
ユウマ「追い詰めたぜ・・・アリサ。ってか、ユエ・・・お前は何をしている・・・・」
ユエ「ユウマァ・・・・・・?私・・・実はどMだったみたい・・・♥」
ユウマ「・・・・今更カミングアウトするようなことじゃねぇし、そんなカミングアウトいらねぇから・・・・」
アオイ「何が目的だ・・・?」
ユウマ「・・・・あ?」
アリサ「私たちがここに連れてこられた理由・・・。まだ聞いてなかったなぁって」
ユウマ「・・・・・いいだろう。その前に・・・・おいユエ!!てめぇいつまでそこにいてやがるんだ!!!」
ユエ「んもう・・・せっかちなんだから・・・・」
(するりとユエについていた首輪や手錠、きつく縛られていたはずのロープがほどけて床に落ちた)
コトハ「アオイの亀甲縛りを・・・・あんなにあっさり?」
ツバサ「・・・アオイのせいで突っ込む方向性が卑猥なんだけど・・・でも確かに、ミヤトでも抜けられなかったアオイの捕
縛をあんなにカンタンに・・・」
ユエ「びっくりした?ふふふ・・・・。さて、それじゃああなたたちの疑問の答えを教えてあげるわ・・・・」
ユウマ「・・・・俺たちは適合者(アートレイチャー)。この世界に選ばれた者だ・・・・。そして・・・・それはお前たち4人、全
員が適合者(てきごうしゃ)・・・・・つまり、この世界に選ばれた適合者(アートレイチャー)なんだよ」
アオイ「・・・・・・・・・・俺たち、まだ髪ふさふさだけど?」
ユウマ「アートネイチャーじゃねぇよ!!」
アリサ「スカルプDで間に合ってますよ。臭いけど、確かに髪伸びるの早くなるんですよねー」
ユウマ「髪のはなししてねぇよ!!スカルプDに謝れ!臭くねぇよ!むしろ今流行りのメンソールで爽やかさデラックス
だよ!!」
アオイ「とにかく俺らはまだヅラ必要ないんで」
ユウマ「ちげぇって言ってんだろ!いい加減その理解できねぇ腐れ脳みそ交換すんのに素手で全部の髪根っこから滅
してやろうかゴルァ!!!」
ツバサ「適合者(アートレイチャー)ってなんなんですか?世界から選ばれたって・・・」
コトハ「・・・まさか」
ツバサ「・・・?コトハちゃん・・・?」
ユエ「気付いたみたいね。大方、さっきユウマに抱かれたときにでも目覚めたかしら?」
コトハ「っ?!」
ユウマ「ユエ・・・・俺はまだ何も・・・」
ユエ「あら?じゃあユウマも逃げられたの?」
ユウマ「お前のは逃げられたんじゃなくて自ら懐に飛び込んだんだろうが!!一緒にすんな!どMビッチが!!」
ユエ「やだ・・・ユウマ、反抗期なの?お母さん悲しいわっ・・・・もっと言って///」
ユウマ「卑しいの間違いじゃねぇのか・・・照れんな、疲れるわ」
アオイ「この台本は某ニコニコニコニコしたる生放送専用だ。エロ台本なんか書かせるか」
ツバサ「メタいってアオイ!合ってるけど、言っちゃダメだからああああ」
アリサ「つまり、そちらでなにかしらのことをしないと適合者(アートレイチャー)?として迎えられないから無理矢理に
でもそのなにかしらを実行する・・・・ってわけですか?」
ユウマ「・・・そうだ。適合者(アートレイチャー)は適合者(アートレイチャー)同士でなんらかの交わりを行う必要があ
る。感情の揺さぶりが必要なんだ・・・。覚醒を促し、その力の度量を見る必要がある」
ユエ「ごめんなさいね・・・勝手なこととはわかっているわ。でも、この世界に関わることなの・・・・」
コトハ「そうですよ!!この世界に関わるってなんなんですか!私たちただの学生なんですよ?!その適合者(アートレイチャー)って人たちなわけないじゃないですか!!」
ツバサ「それに、こんな誘拐まがいなことをして・・・許されると思っているんですか?!」
ユエ「もちろん、ちゃんと帰してあげるわ。でもその場合は、適合者(アートレイチャー)としての力を抽出、記憶の消
失、書き換えをさせてもらうけれど・・・・」
ツバサ「っな・・・・」
コトハ「記憶の・・・書き換え・・・?そんなこと・・・できるわけ・・・」
ユウマ「できるんだよ・・・・簡単にな・・・・」
(アオイが小さく笑う。その反応にツバサやコトハ、ユウマも驚いていた。アオイは笑い声をやめ、滅多に見せない笑みを浮かばせながら、ユウマとユエを睨んで離さない。)
アオイ「・・・・なあ、アリサ。よかったな・・・・これの正体が分かって」
アリサ「・・・・うん。それに、有岡ユウマにも会えた」
アオイ「お前はそれしか言えねぇのか」
アリサ「そっか・・・そうだったんだね・・・・私の・・・私たちのこの力は・・・・・でも・・・力なんていらなかった!!!私は
っ!!!」
コトハ「アリサ・・・っ?」
ユウマ「・・・・悪いが、お前らの言うことなんか聞いていない。俺たちは適合者(アートレイチャー)。世界に選ばれた使
命がある。」
アオイ「勝手に・・・俺たちの人生決めてんじゃねええええ!!!」
(一瞬でアオイはユウマの前に現れ、その勢いでユウマを殴り飛ばした。その手は金色に輝いていた。)
ツバサ「アオイ・・・それ・・・・」
コトハ「・・・手・・・手が・・・・」
アリサ「・・・・ごめん、二人共。隠してて・・・」
(一瞬、風が強まり歪んだ空間にアリサが封じ込まれた。しかし、次の瞬間、アリサの姿とともにその手にひと振りの細い刀が握られていた。)
ユエ「あらあら・・・」
コトハ「アリサ・・・まで・・・」
ツバサ「そんな・・・・嘘だ・・・・」
アリサ「・・・・私だって、嘘であって欲しいって願った。でも・・・これは、現実・・・なんだよね・・・」
アオイ「俺たちとアリサの好きな永魔(えいま)。話がすごくよく似てるから、おかしいなとは思ったんだ・・・。まさか現実のことだったとはな・・・・」
ツバサ「っ!じゃあ、この人達が言っているのは・・・・っ」
アリサ「全部・・・本当のこと・・・・」
コトハ「そんな・・・・っ」
ユウマ「・・・・そうか、お前らはもう覚醒していたんだな・・・。抱く手間が省けて助かる。」
ユエ「女の子には悪いけど、ユウマが力のコントロールができないせいで、性交渉しないと覚醒させてあげられないのよね。私はキスだけでいいんだけど・・・私恋愛対象男の子だからぁ」
アオイ「・・・・っけ。無傷かよ」
ユウマ「あぁ。残念だったな。お前の覚醒は完全じゃない。力が弱すぎる。吹き飛ばす勢いはあっても人より少し力が
ある程度ではこの俺に傷をつけることすらできないぞ。」
ユエ「あなたは私と同じ刀が武器なのね。」
アリサ「ええ。・・・・・っ?!」
ユエ「っ!!ふふふっ!死なない程度に、あなたの力測ってあげるわ」
アリサ「っ・・・・瞳孔と殺気が隠しきれてませんよ、ユエさん」
(ツバサは戦闘が始まった4人を見ながら鼓動が早まるのがわかった。ツバサは気づいてしまった。)
ツバサM「・・・・ユエさんたちは僕が男だと思っている。つまり・・・本当に欲しかったのは僕じゃなくて・・・・ミヤトの方・・・?僕は・・・・・なんの・・・価値も、ない・・・・?」
コトハ「ぇ・・・あ、ツ、ツバサく」
(カタカタと震えるツバサに気付き、コトハは手を伸ばした。そこに、4人が同時に攻撃を仕掛けた爆風でツバサがその場から吹き飛んだ。)
コトハ「っいやああああああ、ツバサくん!!!」
ツバサ「あ・・・・」
アリサ「ツバサ!!」
アオイ「ツバサっ!」
(落ちていくツバサの体。その時、ツバサの下の方から叫ぶ声がこだました。)
ミヤト「っツバサぁあぁあああ!!!」
ツバサ「えっ・・・・ミヤト・・・・?」
ミヤト「ぃよっしっと!!」
アリサ「ミヤト!」
アオイ「・・・あいつ、よくここがわかったな」
コトハ「・・・・・」
ユエ「・・・・・ユウマ。私たちは焦りすぎたみたいね」
ユウマ「・・・・・そうか。」
ユエ「一時休戦よ。話し合いましょう。」
ユウマ「・・・・・すまなかった。本来、俺たちが救わなきゃいけないのに、逆に危険な目に合わせてしまった」
アリサ「・・・・こちらにも責任はあります。私たちはあなたたちを責められない・・・・。」
アオイ「・・・・ツバサとミヤトを回収してくる・・・・。アリサ・・・任せるぞ?」
アリサ「・・・・アオイ。」
アオイ「・・・・なんだ?」
アリサ「・・・・もし、ツバサに意識あったら・・・・ごめんねって伝えて・・・・」
コトハ「アリサ・・・」
アリサ「コトハ・・・・行こう。」
コトハ「・・・・っ。アリサはっ!それでいいのっ!!?」
アリサ「・・・・ごめん。今は・・・・従って欲しい。」
コトハ「・・・・っ。・・・・わかった。」
(コトハは何も言えなかった。アリサの目には光がなく、その目には涙が浮かんでいたことに気づいてしまったから。そして、それはユウマも気づいていた。)
ユウマ「・・・・っ。バカ野郎・・・・男なら。女の涙拭ってやるくらいカッコつけたいもんだろうが・・・・っ!!!・・・・いや。俺に、そんな資格なんてねぇか(小声」
(ユウマは握り締める拳をゆっくり力を抜き、アリサたちの後を追いかけた。その情景に重なるように力なく腕をおろすミヤト)
ミヤト「ツバサ・・・アオイ・・・いま、なんて・・・?」
アオイ「ずっと隠していて悪かった。だが本当の話だ。俺たちは適合者(アートレイチャー)という、超能力みたいなもんが使える奴らの仲間らしい。そしてそれは・・・・・お前もだ、ミヤト」
ツバサ「僕は・・・ミヤトと間違えて連れてこられたみたい。」
アオイ「それに関して・・・話があるみたいだ。一緒に来い。」
ミヤト「・・・お前らがそういうのなら・・・でも説明しろよ。そんなんじゃ分かんねぇよ!それに、そいつらがいるからなんだって言うんだ?世界に選ばれた?変な宗教団体じゃねぇよな?俺の髪はフサフサだよな?な?」
アオイ「なんでそんなにこだわってんだ?後退してきたのか?」
ミヤト「ちげぇよ!!そうじゃなくて・・・って、空気変えたくてボケてやってんのにそれの説明求めてくんなよ、恥ずかしい。とにかくだ・・・・そのアートネイチャー、だっけ?に入って俺は何をすればいいんだ・・・?」
(だんだん小声になっていくミヤトの声。ツバサはきゅっと唇を噛んだ。)
ツバサM「結局、僕は何もないんだ・・・。どんなに頑張っても、どんなにみんなにおいていかれないように頑張っても・・・どんなに・・・ミヤトの事を想っても・・・僕は・・・・役立たずなんだ・・・何の価値も、ないんだ・・・・そっか・・・そうだったんだ・・・」
ツバサ「次回予告」
コトハ「それぞれの思いがこだまする。」
ユエ「突きつけられる現実」
アオイ「そして忘れたい過去」
ユウマ「強制的に突き動かされる世界に、僕たちは・・・」
アリサ「明日の僕たちの日常は」
ミヤト「もう二度と訪れない・・・」
ユエ「第3話「明日は明日の風が吹く」」
アオイ「ツバサ・・・・お前だけが不幸だと思ってんじゃねぇぞ」
ユウマ「to」
アリサ「be」
ツバサ「continued」
コトハ「次回へ続く」
ミヤト「つづ・・・おいっ!!」
(ミヤトとコトハなるべくかぶせて「つづ・・・」のとこだけ)
to be continued..........